第25回 コンバージョンのすすめ:リフォーム・新築の高屋工務店(京都)

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第25回 コンバージョンのすすめ(2009年7月1日)

コンバージョンとは

コンバージョンとは、
既存のビルや商業施設、倉庫などを用途転換する手法です。
例えば、不良債権化したオフィスビルを安く買い取って
付加価値の高い都心型住居として供給するビジネスも登場しており、
広く普及した手法です。

少子高齢化による児童減少で廃校となった小・中学校を、
コミュニティ施設や高齢者向け福祉施設として転用したケースもあり、
例えば神戸の旧外国人居留地に隣接する北野小学校は
児童数の減少と震災被害で廃校となりましが、
「北野・工房の町」として蘇生しています。

しかし木造住宅が主流であった日本では構造の耐用年数などから
スクラップ&ビルドにより住宅などは大量生産されてきており、
既存を用途転換するという発想や事例は海外に比較すると乏しい。

2003年問題

コンバージョンが日本で注目され始めたのは2003年問題で、
オフィスビルの大量発生により余剰となった相対的に競争力に劣る
都心立地の事務所ビルを住宅に用途変更することによって
再び蘇生させることにある。

その結果、オフィスとしての賃料より、
住宅としての賃料が上回るという潜在力を有する案件があるからです。

需要が枯渇したオフィスビルは、
賃料を下げてもテナントを埋めることは難しい。

オフィスの賃料水準から軽作業場さらには倉庫の賃料水準まで
賃料を下落させることになり、地域全体が地盤沈下を起こしかねない。

居住人口の都心回帰が進むなか、
都心居性やSOHO、クリエーター向け住居など住宅用途に転換することは、
既存の利用を継続することによる破綻リスクを低めるため、
ビルオーナー、不良債権処理を進める銀行、
都市再生に起死回生をかける私などにとっては
時代の要請とマッチした魅力的な手法ということになる。

(雑居ビルからワンルームマンションへのコンバージョン例)

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コンバージョンの実例

コンバージョンは、注目度の割にはいままで活用された事例は少ない。
普及率が悪い例として建築基準法の採光規定などをクリアできなかったり
クリアできるとしても事業採算性が悪くなることである。

例えば採光規定では住宅に床面積の7分の1のサイズの窓を
設置することを義務付けている。
採光スペースを取るためビルをくりぬいて内側にも窓を作るなどをするとコストが上昇する。
費用対効果で不動産価値がコスト負担以上に上昇しなければならない。

国土交通省では住宅へのコンバージョンに際して、
改装費用の一部補助や建築基準法の緩和策を推進しており、
助成策が進めばこれらのネックも改善し、
さらにニーズが高まるものと予想される。

すでに一部の住宅会社や不動産会社、大手ゼネコンによる
コンバージョン事業参入が相次いでいる。

大成建設は東京都心部の中古オフィスビルを改修して
マンションに転換する事業を始める。
約20人の専門部隊がビルのオーナーに提案し、
営業や設計、建築、都市開発など各部門から人員を集め、
リニューアル本部内に専門チームを新設。

建物の状態や立地、賃料水準などを分析し、
顧客の資産運用に関するコンサルティングを実施。
再びオフィスビルとして改修する場合に比べ、
賃貸マンションに用途転換した方が投資利回りが高いと判断すれば、
設計から施工、完成後の運用・管理まで一貫サービスを提供する。

今後、コンバージョン市場が拡大するとみており、
その1割近くのシェア確保を狙っているのである。

具体的手法

海外では、「コンバーター」と呼ばれるコンバージョンを専業とした
事業者が存在し、イギリス等では既に職能として確立されているが、
日本でもこのビジネスモデルの構築は急速に進むと思われる。

まず不動産の物件紹介などから、コンバージョンの要件を備える物件を
選定し、建築基準法など法的規制、建築的特性などコンバージョンの
基本的成立要件の適性評価を行った上で、
地域分析、周辺の需要予測に基づく事業採算性の検証、
さらに資金面のサポートとして、税制面の検討、公的助成措置、
金融機関やサブリース会社と連携した事業提案、
既存建物の構造安全性の検証等によって、
事業プランを具体化する低コスト・工期短縮など技術面のサポートを行う。完成後は運用支援や管理などを行う。

視点を拡大するとコンバージョンは2003年問題に深く関わるため、
オフィスビル間の競争に敗れた敗者救済的側面があるが、
個々をコンバージョンすると住宅とオフィスが無秩序に混在する街が
生まれかねない。

オフィス、店舗を集積するエリア決めを議論していくべきであり、
行政もコンバージョンに積極的に参加、支援すべきである。

建築基準法、改修工事上の課題

事務所務所ビルから集合住宅へ用途変更する場合、
下記のような課題をクリアしなければならない。

○採光
事務所には採光の規定は適用されないが、住宅の居室は、
有効採光面積は居室の床面積の1/7以上必要とされている。

平成15年3月28日告示改正などで基準が緩和の方向にあるが、
採光規定により、建築物が境界線等から一定距離後退して空間を確保し
その空間の明るさを窓を通して取り込むことで、
室内の採光が確保できるものでなければならない。

事務所ビルは、採光が不要なので隣地境界線との間隔を取らず
近接して建っているケースが多く、内部も空間利用の効率性から
間仕切りの可変性など事務室スペースを広く確保できるように
設計されているため、事務所ビルを住宅に用途変更し、
各居室に採光を確保することは、物理的に困難なケースが多い。

この観点から見るといわゆる大規模ビルより
各階の床面積があまり広くなく、接道条件が良好で、
住宅の採光を確保する条件を持っていることが、
コンバージョンの条件となる。
コンバージョンを行った事例の多くは、
ワンフロア・ワンテナントの小規模オフィスを
ワンフロアに1つの住宅としたものといわれている。

○接道条件
共同住宅は建築基準法上の特殊建築物に該当するため、
建築基準法43条の敷地の接道義務を地方公共団体の施行条例で
さらに条件を付加し、一般の建築物より厳しく運用されている。
事務所であれば敷地の接道長さが条例に抵触しなくても共同住宅の場合、建築できないケースもある。

○避難階段
住宅は耐火構造または準耐火構造でその階の居室床面積が200?を超えるときは2以上の直通階段が必要。

その他の構造のときはその階の居室床面積が100㎡を超えるときは2以上の直通階段が必要とされている。

避難階段については
建築基準法や消防法では、原則として各住戸からの二方向避難を
要求しているため、廊下等から二方向に避難することができ、
避難方向には階段や屋外避難バルコニーがなければなりません。
ワンフロアに1〜2住戸なら各住戸にハシゴや緩降機を1ヶ所取り付けて
二方向避難を確保すれば済みますが、
何十戸という住戸に同じものを取り付けるのは非現実的です。

一般のマンションには、二方向避難を確保するため
バルコニー(ベランダ)が設置してありますが、
オフィスビルのコンバージョンでバルコニーを設置するのは困難です。
そのため、廊下の突き当たり両方に外階段や避難バルコニーを設置して
二方向避難を確保する方法がよいでしょう。

しかし、都心型のオフィスビルは敷地いっぱいに建てられてるケースも
多いので、階段やバルコニーを新たに設置できるスペースがない場合は、
コンバージョンは難しいと考えなければならないかもしれません。」

○冷暖房設備
事務所から住宅にコンバージョンする際、
難易度が高い工事として冷暖房設備工事です。
各住戸の空調室外機を置く場所が確保できないからです。

オフィスビルのような各戸から廊下内の天井を通して屋上に置く方法は、戸数が多い場合は現実的ではありません。

そこで注目されるのが、
ガス会社で開発しているHEATS(ガス住棟セントラル冷暖房給湯システム)でしょう。屋上等で作られた熱媒体や温水を各戸に供給し、
専用メーターで検診するのです。
ホテルの設備をグレードアップして各室毎の使用量を計量化できるようにしたものをイメージすればよいでしょう。」

コンバージョンの可能性

現在、建築ストックはすでに余剰であるが、従来の破壊と建設という
手法でなく、環境に優しい再生、再利用へと向かっている。

現実のライフスタイルと違和感がある住空間の固定観念から逃れた、
オフィスや倉庫など異次元の空間利用を住宅に用途転換する手法は、
住宅を革新的で個性的な空間として変換・再生する可能性を秘めている。

さらに都心=ビジネス 郊外=住まいという切り分けは都心回帰の
流れのなかで機能しなくなっている。

都心は職・遊・住・医・文化が混然と融合する多機能な空間として
生活に馴染んできている。オフィス・住宅・商業空間という切り分け、
整理は都市計画の課題であるが、建造物の長寿命化に伴って、
多様な利用形態に移行しやすいコンバージョンは、
SOHOなどを拠点とするクリエーターなど
新たな起業を起こす人材を住民としてコミュニティへ取り込む事により、閉塞した日本経済の活性化に寄与するものと考えられる。

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