京町家の外壁を黒く塗ったら京町家?
本来、京町家の外壁は焼杉板です。
しかし近年は黒く塗装して京町家風にしているところがほとんどです。
大工をしていた私は、昔は河原で杉の板を1枚1枚焼いて川で洗って、手作りで杉の焼板を作っていました。
それが近年は偽物の杉の焼板が普及して、それが常識になっている所が気に食わない訳です。
杉の焼板を焼くには、しっかりと合理的な理由があるのですが、近年の大工さん、設計士、工務店などは分かってない素人が多いのです。
焼杉板(やきすぎいた)を焼く理由
焼杉板(やきすぎいた)とは、杉の板の表面を焼いて炭化させた建材のことです。「焼く」理由には、古くからの知恵と実用性の両面があります。以下に、なぜ焼くのかとどんな効果があるのかを解説します。
1. 耐久性を高めるため
表面を焼くことで炭化層ができ、雨や湿気から木材を守ります。これにより、腐朽やカビの発生を防ぐ効果があります。
2. 防虫効果
シロアリなどの害虫は炭化層を嫌うため、焼杉板は虫に強い特性があります。
3. 防火性の向上
一度焼いた木材は燃えにくくなるという特性があり、延焼のリスクを軽減できます。
4. 塗装の代替として
焼くことで独特の黒い風合いが出るため、塗装しなくても美しい外観を保つことができます。
焼杉板の効果・メリット
効果 | 説明 |
---|---|
耐久性向上 | 炭化層が雨・湿気・紫外線から板を守る |
防虫性 | 害虫が寄りつきにくい |
防火性 | 延焼を防ぐ効果がある |
メンテナンス性 | 塗装不要・風合いが長持ち |
意匠性(デザイン) | 和風・京都の街な雰囲気にする |
焼杉板の注意点
- 表面が黒く手につくことがある(施工時には注意)
- 初期費用がやや高め(通常の杉板より工程が多い)
- 最近は表面をブラッシング処理した製品もあり、炭が手につかないタイプも存在
こんな場面におすすめ
- 和風建築・古民家風リノベーション
- 外壁材としての自然素材の使用
- 経年変化を楽しみたい人
焼杉板は、昔ながらの知恵が活かされた建材でありながら、現代の建築にもマッチする優れた素材です。耐久性や防火性、意匠性を求める方には非常におすすめです。
本物の京町家を忘れないでほしい
本物の京町家は外壁の黒い部分は杉の焼板
偽物の京町家は外壁の黒い部分は外国産の木に黒く塗装
何でも黒く塗装すれば京町家と思ってほしくない。
現在は何でも効率化され、杉を焼く手間も惜しんで塗装で済ませますので本物の焼杉板を見ることはほとんど無くなってきました。
しかし、本物の焼杉板があっての京町家です。
京町家には焼杉板の壁を忘れないで欲しいです。