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全東信の破産から考える
店舗経営の資金繰りと改装計画
2026年7月、クレジットカード決済代行会社「株式会社全東信」が破産手続開始決定を受けました。店舗経営では、売上があっても入金までの間に資金が動かせないことがあります。今回のニュースをきっかけに、店舗開業・リフォームを予定している方が考えておきたい資金計画と工事予算の組み方を整理します。

店舗経営と資金計画
2026年7月6日、クレジットカード決済代行サービスを提供していた株式会社全東信が大阪地方裁判所から破産手続開始決定を受け、同社の決済代行サービスが停止しました。
全東信は銀行や信用金庫などの金融機関ではありません。そのため、今回の破産によって店舗向け融資全体が直ちに厳しくなる、という話ではありません。
一方で、店舗経営では「売上が発生すること」と「実際に現金が入ってくること」は同じではありません。決済会社からの入金、家賃、仕入れ、人件費、設備費、工事代金など、それぞれの支払時期が異なるため、手元資金と資金繰りを考えた店舗計画が重要です。
全東信の破産で店舗オーナーが考えるべきこと
株式会社全東信は、店舗などを対象にクレジットカード決済代行サービスを提供していた会社です。2026年7月6日に破産手続開始決定を受け、同社による決済代行サービスは停止しました。
今回の問題で特に重要なのは、売上が発生していても、その売上代金がまだ店舗側へ入金されていない場合があるという点です。
店舗経営では、クレジットカードや各種キャッシュレス決済の売上が即座にすべて現金化されるわけではありません。売上から実際の入金まで時間差があるため、決済事業者や資金決済の仕組みに問題が発生すると、店舗側の資金繰りに影響する可能性があります。
「金融機関の破産」とは分けて考える必要があります
全東信は銀行や信用金庫ではなく、クレジットカード決済代行会社です。今回の破産だけを理由に、銀行などの店舗向け融資審査が一律に厳しくなると考える必要はありません。ただし、売上金の入金遅延や未回収などが発生すれば、個々の店舗の資金繰りには大きな影響を与える可能性があります。
店舗開業に必要なのは「内装工事費」だけではありません
これから店舗を開業する場合、最初に内装工事や設備工事の費用へ目が向きがちです。しかし実際には、開業前から営業開始後までさまざまな支出が発生します。
工事予算を決めるときは、内装工事だけを切り離して考えるのではなく、開業に必要な総予算の中で工事へいくら使えるのかを整理することが重要です。
物件取得費
契約時に必要となる敷金・保証金・仲介費用などを含めて考えます。
設計・内装工事費
間取り変更、内装、電気、給排水、空調、照明など店舗をつくるための費用です。
設備・備品費
厨房機器、美容機器、家具、什器、レジ、照明器具など業種ごとの設備が必要です。
広告・開業準備費
看板、Webサイト、広告、印刷物、求人など営業開始前にも支出が発生します。
仕入れ・人件費
商品や材料の仕入れ、スタッフの給与など営業開始と同時に必要になる資金です。
運転資金
開業直後から売上が安定するとは限らないため、営業を継続するための手元資金も必要です。
店舗リフォームでは予備費を考えた資金計画が重要
店舗リフォームでは、着工前の調査だけでは確認しきれない部分が残る場合があります。
特に中古物件や居抜き物件では、既存の壁・床・天井を撤去したあとに、給排水管、電気配線、下地、設備などの状態が分かることがあります。
解体後に設備の劣化が判明
既存配管や電気設備などに補修・交換が必要になるケースがあります。
既存設備を再利用できない
居抜き物件でも、容量・性能・状態によって交換が必要になる場合があります。
営業条件から仕様変更が必要
厨房設備や美容機器などの選定によって、電気・給排水・換気計画が変わることがあります。
物件側の条件が工事に影響
管理規約、搬入経路、施工時間、既存建物の状態などによって工事内容が変わる場合があります。
そのため、見積金額だけで開業資金を使い切るのではなく、予想外の支出にも対応できる余力を持った計画が重要です。
追加工事が発生したときに計画全体が止まらない状態をつくる
店舗工事では「追加工事を絶対にゼロにする」ことよりも、事前調査を行い、想定できるリスクを整理し、変更が必要になった場合にも対応できる資金計画をつくることが重要です。
限られた予算では「必要な工事」から優先順位を決める
店舗づくりでは、希望するデザインや設備をすべて最初から実現しようとすると、予算が大きくなることがあります。
その場合は単純に全体の仕様を下げるのではなく、営業開始に必要な工事と、あとから追加できる工事を分ける方法があります。
営業許可や営業開始に必要な設備を優先する
給排水、電気、換気、空調など、店舗運営に不可欠な部分から予算を確保します。
お客様が直接利用する場所を優先する
客席、受付、施術スペース、トイレなど、営業品質に影響する場所を整理します。
工事後に変更しにくい部分へ先に予算を使う
配管、配線、下地、間取りなど、完成後の変更が大掛かりになる部分は初期工事で整えておきます。
家具や装飾は段階的な導入も検討する
後から追加できる什器や装飾は、営業開始後の状況を見ながら整える方法もあります。
開業後に必要な現金を残す
工事の完成をゴールにせず、営業を安定させるための運転資金も確保しておきます。
店舗工事は物件契約前から施工会社へ相談すると計画しやすい
店舗リフォームは、物件を契約してから施工会社を探すものと思われがちですが、可能であれば物件検討や事業計画の段階から相談しておくと資金計画を立てやすくなります。
希望する業態に対して、その物件でどの程度の工事が必要になるのかを早い段階で確認できれば、物件取得後に想定以上の工事費が必要になるリスクを抑えやすくなります。
物件確認
広さ、既存設備、電気、給排水、換気、搬入条件などを確認します。
必要工事を整理
業種や営業内容に合わせて、必要な工事と設備を整理します。
概算予算を確認
事業計画に対して工事予算が適切か早い段階で検討します。
開業計画へ反映
工期や設備納期を踏まえ、物件契約・融資・開業時期を調整します。
店舗物件は「家賃」だけで判断しないことが大切です
家賃が希望条件に合っていても、希望する店舗へ変更するために大規模な設備工事が必要であれば、初期投資は大きくなります。物件取得費と工事費を合わせて比較することが重要です。
これから店舗開業・改装をする方が確認したい資金計画
今回の全東信の破産に直接関係していない店舗でも、資金の流れを確認するきっかけにすることはできます。
特に、これから新規開業や大規模な店舗リフォームを予定している場合は、工事着工前に次の項目を整理しておくと計画が立てやすくなります。
これから店舗を開業する方
融資を利用して開業する方
店舗リフォームを予定している方
工事費が予算内に収まるか不安な方
開業後の運転資金を確保したい方
店舗の資金計画では、総予算、自己資金、借入予定額、物件取得費、工事費、設備費、開業準備費、毎月の固定費、決済売上の入金時期などを一度整理してみることが大切です。
特にキャッシュレス決済の割合が高い店舗では、売上額だけではなく、「いつ入金されるのか」まで含めて資金繰りを見ることが重要になります。
全東信の破産で影響を受けた事業者には公的な相談窓口があります
2026年8月現在、株式会社全東信の破産手続開始によって影響を受ける中小企業・小規模事業者に対して、国による資金繰り支援が行われています。
経済産業省は2026年7月10日から、政府系金融機関や信用保証協会などに特別相談窓口を設置しました。また、日本政策金融公庫でも全東信の破産手続開始に伴う特別相談窓口を設けています。
制度や融資条件は最新情報を確認してください
資金繰り支援や融資制度は、対象条件や取扱内容が変更される場合があります。店舗工事の予算を組む際も、利用を予定している融資制度については金融機関や公的相談窓口で直接確認することをおすすめします。
店舗づくりでは「完成させる資金」だけでなく
「営業を続ける資金」まで考える
全東信の破産は、決済代行会社を介して売上金を受け取る店舗にとって、売上と実際の入金は別に考える必要があることを改めて示す出来事となりました。
店舗開業やリフォームでも考え方は同じです。工事費へ予算を使い切るのではなく、物件取得費、設備費、開業準備費、運転資金まで含めて全体の資金計画を立てることが重要です。
必要な工事に優先順位を付け、早い段階から施工会社と工事内容・予算・スケジュールを整理しておくことで、開業後の経営まで見据えた店舗づくりにつながります。
京都で店舗の開業・リフォームを
ご検討の方へ
株式会社 空間デザインエイトでは、京都を中心に店舗の設計・デザイン・リフォーム・内装工事に対応しています。物件検討の段階から、必要な工事内容や予算を整理し、ご希望に合わせた店舗づくりをご提案します。「この予算でどこまで工事できる?」「開業資金を考えながら工事内容を決めたい」といった段階でもお気軽にご相談ください。
